裁判所が、もっと被害者の力になってくれたら・・・

私は、今回、初めて「調停」を経験しましたが、「調停」の在り方にも、相当問題があると思いました。こっちは、ヘッドギアとグローブを着けて、相手とガンガンやり合うつもりでリングに上がったのに、試合をする前に、レフリーに頭をなでられて、リングから降ろされた感じです。加害者から一度ブローを食らって、裁判所にはガッカリさせられて、結局は、ダブルパンチを食らったようなものです。判決に影響力を持つのは、裁判官や弁護士ではなく、むしろ調停員です。調停員に、我が家の欠陥現場を見せても、「た~いした欠陥じゃない。すぐに直る」と、すべてを過小評価されました。「あなたの立ち位置、おかしいんじゃないの?」私は口に出しかけて、ぐっとこらえましたが、心の中で、裁判所は、調停員として、偏らず、健全な見方の出来る人を選任して貰いたいとそう思っていました。また、調停員が一人だと、独善に陥ってしまいがちです。公平性を保つためには、裁判官や弁護士以外に、同じ調停員の「複数の目」と「複数の意見」が必要です。双方の気持ちを丸く収めるのが「調停」だとすると、さ-てどうでしょう?「一丁あがり~」と早く片づけてしまいたい人達によって、サッサッサッと出された判決の内容は、提示額の根拠に乏しく、理不尽さだけが残るものでした。「清水建築工房」を訴えに行った裁判所で、なんだか「裁判所」をも訴えたくなりました。

調停って何でしょう。

 しばしば登場している調停ということについて、少し説明させていただきたいと思います。

東京地方裁判所では、建物の欠陥について争われる時には、まず調停にかけられます。調停とは、お互いの和解の道を探るものです。お互いの意見を聞き、調停案を出し、お互いが合意できれば調停が成立します。そこで、成立しなければ、本格的な裁判ということになります。訴状を出して翌々月ぐらいから、調停が開始されました。最初は出席できず、弁護士にだけ出てもらいましたが、第2回目からは、全回、妻といっしょに出席しました。毎月1回行われます。もちろん平日ですから、仕事を半日休む必要があります。それも負担になるものです。日程は、ほとんど裁判官と弁護士の都合で決められますから。

最初は、証拠書類のやり取りだけで終わってしまいます。ほんの5分ぐらいで終わってしまうこともありました。しばらくすると意見を言い合う場面も出てきます。

 何回か証拠書類のやり取りをした後で、現地調査ということで、現場を見に来ます。裁判官も、調停員も来ます。現地で、原告と被告双方が意見を言い合います。現地を見るのは、この1回だけです。全て見せないといけません。後で出しても、見ていないものは裁判所では、あまりとりあげてくれません。ですから、これが大きな山場になります。その後、またやりとりした後で、裁判所は調停員と合議し、調停案を出してきます。これでお互いに合意できれば、調停が成立し、判決と同じ効力を有することになります。調停が成立しないと、正式な裁判手続きに入ることになります。
 

 調停の場はこんな感じです。

 調停は狭い部屋で行われます。テレビに出るような法廷ではありません。正面に裁判官が座り、左右に一人ずつ、二人の調停員が同席します。そしてテーブルを挟んで、対面するように、原告と被告双方が座ります。調停員の一人は、建物の専門家という方、もう一人は法の専門家ということで、弁護士でした。建物の専門家という調停員が曲者です。これにどんな人が選ばれるかで、調停の結果が大きく左右されます。


調停員がどんな人になるかによって裁判の結果が決まってしまいます

 調停員、特に建物の専門家にどのような人にあたるかによって調停の結果が大きく左右されます。裁判官は建物の専門家ではありませんから、この調停員の出した結論と金額に従うからです。調停員の人選で結果は決まったようなものです。調停員には、きちんと正当に欠陥を評価してくれる人と、あくまで業者よりの人と、いろいろ、いるようです。岩山健一先生も、調停員との争いだと、ブログに書いていらっしゃいます。なかには、調停員が業者よりで、欠陥の被害者の御夫婦が調停の場で、さんざんいじめられて、泣いて帰ったということがありましたと、弁護士さんに聞きました。

 いったいどういう基準で裁判所は、調停員を選任しているのでしょうか。弁護士さんに聞いても、わからないと言っていました。

私があたった調停員はというと、弁護士さんに言わせると、よくも悪くもない、いや少し悪い方、何でこんな安い金額が出るんだという金額を出してくる人だと言っていました。そのとおり、欠陥は認めても、どうやったらこの金額で直せるの、という金額を調停案として出してきました。岩山健一先生も、「どうしたら、この金額で直せるのか伺いたい」という意見書を裁判所に出してくれたほどでした。

 それでも、一度和解案が出ると、それが覆ることはないということで、本格的な裁判にかけるしかないのですが、これ以上長引くと、私たちの体力も、生活も、持たないし、とにかく賠償金で危険なところだけでも直したいということで、最初は同意できないと返答したのですが、思案の結果、調停に合意することとしたのです。

 

 裁判所には、調停員の選任方法を考えてもらわなければなりません。少なくとも透明なものにして欲しいと思います。それで裁判が決まってしまうのですから。

被告の返済能力で判決が決まる?

私は、原告と被告、双方に不満が残らない、云わば、折り合いの良いところで決着をつける場が、「調停」だと思っていました。しかし、現実は全く違っていました。私たちは、被告ではなく原告なのに、根拠の定かでない、納得のいかない判決を押し付けられて、反論をする場も与えられず、涙を飲んで収めるしかない、そんなやり方でした。解決と呼ぶには程遠い、無理強いです。どちらに非があるか?を争う裁判ではなく、非があるのは明らかに欠陥を生じさせた被告であることがわかっている調停なのに、調停員は最初から被告側のほうに立っている人たちでした。
賠償金額の根拠は、欠陥箇所を、どういう直し方で直すのか、一つ一つ積み上げられた結果の金額でなければならない筈なのに、全く金額の根拠は示されません。清水建築工房の社長は弁護士を頼まず、毎回Aという取締役と二人で出廷していました。が、調停員は、そのことを「被告は弁護士も雇えない程お金が無いのだから」とか「小さな工務店だから」と、いつも被告の返済能力の事ばかり言いました。そして、私たちが岩山先生に算出して頂いた金額の四分の一にも満たない金額を提示してきたのです。被告の個人資産を、事前に調べたわけでもなく、どうしてそんなことが言えるのでしょう? 弁護士を雇わない=貧乏人・・裁判所とは、そんなに安易に、見かけで判断をする所なのでしょうか? 社長は、日本一授業料が高いことで知られる私立のK幼稚舎に子供を通わせ、ベンツやVWに乗って、何も困らない生活を今もしているのです。そんなたわいもない理由で、賠償の金額を決められたのでは、調停に至るまでに、長い間、私たちが準備してきた、専門家による意見書など、無意味だということです。被告が原告に対して、どれだけの損害を与えたか? 現状復帰の為にどれだけの金額が掛かるか? 判決は、それらによって決められなければなりません。悪いことをしたら一生かかっても弁償する。それが当たり前の道です。被告の体力や支払い能力によって判決が決められるなら、裁判員など最初から要らないです。「調停」とは、自分はこんなに理不尽な国に生まれてしまったのかを、思い知らされる場でしかありませんでした。   

調停を有利に進めるために  その1

この度、防水専門業者の方に見ていただいて、これまで疑問に思っていたことが、明確になってきました。
やはりこれも欠陥だったのかと思う事ばかりです。
今回、防水専門業者の方に見て頂いたことを、積算してもらったなら、裁判所は認めてくれただろう思います。
ですが、今回指摘のあったほとんどの事は、裁判では主張していないのです。
裁判まで時間が無かったこともあります。
天井の漏水のように、その時には原因があっても、その後に症状として表面に出たためにその時に気がつかなかったことも確かにあります。
しかし、やはりもっと早く、業者の方に見ていただければ良かったと思います。
欠陥調査の時に見ていただいたのは、一級建築士の方です。
しかし、今回見て頂いた、数々の欠陥を直接目で見て直してきた防水専門業者の方とは、見る所が違います。
建築士の方は、構造を見るのに対して、防水専門業者の方は、個々の施工方法の是非を見ます。
建築士の方は、こういう構造だから、こういう欠陥になると言うのに対して、防水専門業者の方は、こういう施工をしているからこういう結果になるというような言い方をします。
素人への説得力としては、後の方があるのです。
裁判官も調停員も素人のようなものですから。
できれば両方の目で見ていただいて、裁判に持ち込むのが最良の方法と思います。
いったん調停に合意してしまうと、弁護士が言うには、その後に症状が出た事でも、改めて主張するのは大変なことなのだそうです。
それだからこそ、裁判に訴状を提出する前の事前調査が大変重要なことになるのです。
弁護士に丸投げしたのではだめです。
弁護士は、自ら動いてはくれません。
自分で、調査をしてもらえる方を探し、その結果を弁護士に突きつけて主張してもらわないといけません。
そうでないと、後で後悔してしまう結果になります。

調停を有利に進めるために・・・その2

裁判所に提出する損害額の算出はどのようにしたのかについて、お話しします。

裁判になると、裁判所から瑕疵一覧表を作るようにとの指示があります。
瑕疵を一つ一つ挙げていき、それぞれに主張内容と損害額を書き入れていくのです。
これに基づいて、裁判は進行し、お互いがそれぞれの主張を展開することになります。
調停案も、この一覧表に沿って一つ一つ認めるかどうか、認めるなら損害額をいくらにするかが示されます。
つまり、一つ一つの積み上げ方式なのです。
それなら、どんな細かい欠陥でも上げていって、損害額を積み上げていった方が有利な訳です。
調停案を見てみると、大きな事は認めないが、小さなことは認めやすい傾向にあるようです。
しかし、どうもお願いした建築士の方と弁護士の方の方針は違っていたように思います。
大きなこと、例えば2階建が3階建てになったという建物の強度の問題や、地盤改良の方法等に重きを置いていたようなのですが、その結果は、思うようには認められませんでした。
瑕疵が27件にも及んだという話を前にしましたが、その一件一件の積算も建築士がしてくれていましたが、4200万円にも及びました。
しかも、これには、地盤改良と外観違反の積算は、裁判開始時点では積算不能ということで金額は出されていません。
それでも4200万円だったのです。
しかし、裁判所に主張した損害額としては、3600万円なのです。
このことは、確か弁護士から損害額があまりにも大きくなってしまうからだと聞いたように思います。
確かに、家を建て替える以上の金額になってしまいます。
そして、もともと4200万円の損害額を、合計が3600万円になるように縮減して、弁護士がそれぞれの瑕疵の損害額に割り振ったのです。
この金額の割振りがきちんと建築士と相談してされたかわかりません。
この時点で、どの損害が認められやすいかを判断して、金額を割り振るという戦術的なことが必要だったのではないかと後悔します。
そして、明らかな瑕疵はどんな細かいことでも積算を取って主張すべきであったと思います。

そのことで印象に残っていることがあります。
私が弁護士事務所で、弁護士と建築士の方と打ち合わせをしている時のことです。
換気扇から漏水している部分について、これは換気扇に問題があるのではないかと、私が話した時のことです。建築士さんと弁護士さんは、換気扇を交換したとしても何千円にしかならない、そんな小さなことを主張しても仕方ない。我々が言おうとしているのはもっと大きなことなんだというようなことを、言われました。
この換気扇からの漏水の原因は外の換気カバーと周りのシーリングの影響のようだということが今回わかりました。
シーリングが切れているということと、このようなカバーでは、風で雨が吹き込んでくるとのことです。
雨漏れは、出来上がり後数か月後にはすでにしていましたので、シーリングは当初からしていなかったものと思います。
この点も、調べて見ればわかったことですから、積算を上げてもらうべきだったと思います。
とにかく主張はした方がいいのです。

この建物の瑕疵に対する評価および裁判上の戦術について、建築士、弁護士そして当事者である私との間に齟齬があったことを後悔せざるをえません。


プロフィール

kekkanzyuutaku

Author:kekkanzyuutaku
欠陥住宅を建てて逃げた茅ヶ崎市の清水建築工房の社長を追っています。御存知の方はお知らせください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カテゴリ
リンク
フリーエリア
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する