何故建物は返品できない?

買ったものに傷があれば取り替えてもらう。これは当然のことです。傷の無い完全な物が欲しくて、代金を払って買っているのです。傷がある物では、まだ契約が履行されていませんから、完全な物を要求するのは当然なのです。割れた物を、接着剤で直したとしても、傷物は傷物、新品とは違います。100円、200円の物でもそうなのですから、何千万円もする建物の場合には、もっと保障されるべきです。ところが、この理屈が建物については、法律上通用しないというのです。何故でしょうか。民法に次のような規定があります。

民法第634条第1項  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
第635条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

つまり、普通は瑕疵があれば契約解除できるのだけれど、建物の場合には、できない。あくまで瑕疵は修理させて使いなさい。修理にあまりお金がかかりすぎると、修理も認めません。ということです。どうして、建物についてはこのようなことになっているのでしょうか。ある法律書には、建物を取り壊すのは、社会的経済的損失だから、と書いてありました。社会的、経済的損失とは、いったい何でしょうか。できたばかりの建物を取り壊すのはもったいない、ということでしょうか。売ることもできない欠陥住宅がもったいないのでしょうか。損失とありますが、取り壊して新しく建物を建てる場合、損をするのは誰でしょう。欠陥住宅を建てた者以外考えられなくはないですか。そうです。この規定は、建築業者を保護するためのものとしか読めないのです。この規定があるために、できてしまえば、こっちのもの、建て直させられることは無い、後でわかったら、ちょっと修理すると言ってごまかせばいい、とばかり、欠陥があっても見ないふりをして、工事を進行させてしまうから、取り返しのつかない欠陥住宅ができてしまうのです。
最近は、契約解除は認められないが、建替費用相当分の損害賠償を認めることで建替と同じような保障をするという判例もでてきたということですが、私が裁判所で受けた印象では、それはごくごく稀な例で、法律家や調停員達の認識はまだまだ甘いというか、時には敵にさえなります(裁判のこと、特に調停員のことはまたあらためて書きたいと思っています)。
立法に携わる者も、裁判に携わる者も、欠陥住宅に真剣に取り組まないと、欠陥住宅問題はなくならないのに。

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欠陥住宅を建てて逃げた茅ヶ崎市の清水建築工房の社長を追っています。御存知の方はお知らせください。

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